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琉球石灰岩

琉球石灰岩

海の生き物が発生の起源です

石灰岩とは

石灰岩は炭酸カルシウムを主成分とした堆積岩の一種です。石灰質の体を持つ生物が死んでできた生物起源のものがあります。生物起源とは、石灰岩の場合はサンゴや貝などの海中生物の遺骸です。
サンゴ

生物起源によるもの

石灰質の骨格を持っているサンゴや石灰質の殻をもっている貝の仲間も堆積して長い時間がかかることにより、石灰岩の岩盤を形成します。このように海洋生物が形成の要因となっているのものが生物起源による石灰岩です。
石灰岩

化学的沈殿によるもの

洞窟内などで見られるような堆積物などがそうです。地下水や雨水、岩盤から滲出してきた水などで石灰質を含むものが沈殿して再石灰化したようなものが化学的沈殿による二次生成物です。鍾乳石などが含まれます。

二酸化炭素の固定

石灰岩の構成物質であるサンゴの生育に二酸化炭素が大きくかかわっています。海水中に大量の二酸化炭素が溶解し、共生している褐虫藻はこれを利用し光合成をして、栄養を供給することでサンゴが成長・発達していきました。大気中の二酸化炭素が石灰岩という形で固定されていることにより、私たちや多くの生き物たちは地球上で生存することができます。

ストロマトライト

サンゴではありませんが、先カンブリア紀にはシアノバクテリア(藍藻類)が光合成をおこない、二酸化炭素を吸収し、大量の酸素を放出したことにより、大気の上層部でオゾン層が形成され、これが有害な紫外線をさえぎることで、陸上で生き物たちが生活できるようになったそうです。シアノバクテリアと堆積物が層状に重なり合って、ストロマトライトというドーム状の岩石を形づくっています。これも石灰岩の塊です。今もオーストラリアの西部にあるシャーク湾(ハメリンプール)で生息しています。NHKスペシャル生命40億年はるかな旅の第1話(海からの創生)で詳しく紹介されていました。写真はオーストラリア(シャーク湾)です。

サンゴ

写真はオーストラリアのグレートバリアリーフです。近年の海水温の上昇などの影響で世界各地で大規模なサンゴの白化後の死滅が報告されています。二酸化炭素の減少に貢献しているサンゴが少なくなると、大気中の二酸化炭素が増加し、地球の温暖化に拍車をかけることになります。

地形

海の生き物を起源としている石灰岩ですが、世界中のいろいろなところに存在しています。山をつくり、大地をつくり、神秘的な洞窟をつくったりといろいろです。もちろん海辺でもその姿を見ることができます。
このページでは琉球列島に見られる石灰岩地形も紹介できればと思います。

アルプス造山運動によってできた山々にも石灰岩があるそうです。すごいですね。世界の果てまでイッテQにでてきたアイガーやエベレストの山頂付近にあるそうです。写真はエベレストで、上部にあるチョモランマ層とイエローバンドは石灰岩となっていて、超古い海洋生物の化石が出ているそうです。

カルスト地形

石灰岩が雨水などによって浸食されてできた地形がカルスト地形と呼ばれています。ドリーネと呼ばれているすり鉢状のくぼみができたり、鍾乳洞ができたりします。特になだらかな地形の場合にカルスト台地と呼んでいます。国内では山口県の秋吉台が有名です。写真はスイスのカルスト台地です。

タワーカルスト

写真は中国の桂林です。特に急峻で切り立ったカルスト地形をタワーカルストと呼びます。

円錐カルスト

今帰仁城跡から本部町にかけては円錐カルストと呼ばれている世界的にもとても貴重な地形があります(タワーカルストと紹介されていることも)。美しい形状から円錐(コーン)カルストと呼ばれています。円錐カルストは国内でここだけです。中生代三畳紀、今から約2億年以上前の石灰岩の大地です。おむすびみたいなきれいな形の山々を見ることができます。

鍾乳洞

石灰岩の大地では鍾乳洞も見られます。山口県では秋芳洞、沖縄では南部にある玉泉洞が有名です。写真はスペインです。

人間生活への利用

石灰岩は私たちの生活の中でたくさん活用されています。

石材

沖縄のグスクに使われていますが、ローマのコロッセオはトラバーチン(化学的沈殿による石灰岩)が多く使われています。日本の国会議事堂の内装の床にも大理石(これも石灰岩)や柱や壁には沖縄の珊瑚石灰岩(化石も多く含まれています)が利用されています。

石切り場

沖縄では昔、石大工(いしでーく)がいて、海岸の石灰岩を切り出して、家廻りの石材として活用していました。屋敷を囲う壁などいろいろです。経済的に恵まれている人たちの家で多用されていたようです。今も海辺では、当時の石切りの後を見ることができる場所が残っています。。写真は岩から切り出しています。
ビーチロック(板干瀬)から切り出しているところもあります。

工業用品

建築資材として身近なところではセメントです。家の壁に使われる漆喰もそうです。グランドに白線をひいていたのは消石灰です。お弁当の発熱材にも活用されています。

世界遺産今帰仁城跡

グスクと呼ばれている沖縄の城にも、石灰岩が広く使われています。特に近くにある今帰仁城跡の城壁は他の沖縄の世界遺産のグスクと比べると個性的で、独特の風情を持っています。石の材質にその秘密が。

中生代三畳紀の石

以前は古生代石灰岩ということで教わったのですが、それよりはもう少し若い中生代三畳紀の石灰岩らしいと教わった気がします。それでも2億年以上前の石灰岩です。今帰仁層という地層の特徴として、岩を割ったときに、やや四角い形になるそうです。この層からはアンモナイトの化石も出てきたりします。

野面積み

古くて、かなり固い石灰岩なので切ったりして成形することがむつかしいために野面積みという技法を採用しています。自然の状態の石や岩をそのまま組み合わせて積み上げています。かなり緻密に積んでいるために、思っている以上に崩れにくいそうです。沖縄のほかの世界遺産のグスクは、もっとやわらかい石灰岩を使用しているので、石を加工して積み上げています。方形に加工して積んでいる布積みや、六角形に加工して積んでいる相方積みです(見た目の姿から本土では亀甲積みと呼ばれています)。

琉球石灰岩

石灰岩という大きなくくりで紹介してきましたが、ここではちょっと焦点を絞っての紹介です。琉球石灰岩は主に鹿児島県喜界島以南に分布しています。今から数万年から数十万年前に発達したサンゴ礁が発生の起源となっているそうです。沖縄の島じまの周辺には浅い海が広がり、黒潮の影響などでサンゴ礁が発達したそうです。これらが堆積して琉球石灰岩の層が出来上がりました。年代的には新生代第四紀更新世だそうです。地殻変動や海水面のレベルの変化を通じて、沖縄周辺のいろいろなところにあります。地上高く出ているものもあれば、慶良間周辺などでは水深80mくらいのところにあったりです。サンゴの骨格や有孔虫、石灰藻、貝、ウニなど石灰質の殻をもった生き物たちが死んで積層してできた堆積岩です。そのためにいろいろな生き物の化石も含まれることがあります。山口県秋吉台の石灰岩は今から約3億年以上前の古生代石炭紀のものだそうです。今帰仁城跡から本部町山里にかけてのものでは今から約2億年以上前で中生代三畳紀のものだそうです。ものすごく古くて硬いです。これらの石灰岩と比べると、琉球石灰岩はとっても若く、それほど硬くないという性質があります。

琉球石灰岩

海辺の自然学校のシーカヤックマングローブツアーのフィールドでは琉球石灰岩の地形を見ることができます。ノッチや洞窟、鍾乳石などもあります。

ノッチ

日本語にすると切欠(切れて欠けている)です。波による浸食によって水面近くを中心に深い切れ込みが生じます。しかし、この切れ込みの原因は波によるものだけではなく、生物による浸食の影響が大きいです。。岩盤の水面近くにお付着したノリやコケを貝類が歯舌(軟体動物特有の摂餌機能)をつかって食べるときに、岩まで削り取ってしまいます。このような生物活動による浸食作用をバイオエロージョン(bio-erosion)とも呼んでいます。海水面の変動によって、水から離れたところにあるものを離水ノッチと呼んでいます。沖縄の水辺を散策すると、根元がへこんでいる岩場が、水際から離れたところにあったりします。

きのこ岩

ノッチの一例です。根元が浸食されて細くなっています。いつかはさらに削られて倒れてしまうことでしょう。上部が平坦になっているものはテーブル岩と呼んだりします。これらの地形は沖縄の海岸沿いでよく見られます。驚くほど細くなっているものも。

ダブルノッチ

本部町備瀬崎のダブルノッチが有名です。海水面の変動により、複数のノッチが生じる場合があります。その時代に応じての海水面の高さの変化の様子がわかります。

ハートロック

アイドルグループの嵐が来て、JALのCMを撮影・放送したことから人気の観光スポットに。これも典型的なノッチの地形です。この2つの岩がかさなって見えるとさらにハートの形になります。

海岸段丘

海の浸食と陸の堆積によってできた平坦面が、陸の隆起や海面の後退により、離水し、海岸沿いに平地として分布する地形のことです。古宇利島は、琉球石灰岩でできている島で三段の海岸段丘が顕著にみられます。海岸段丘面は上位面(標高100,70m)、中位面(標高60~35m)、下位面(30m)に分けることができるそうです。これらは数十万年から十数万年前以降に形成されています(今帰仁村の発行物からの引用です)。

海食崖

万座毛の断崖がとくに絶景です。

海食(海蝕)洞

沖縄の人気スポットである青の洞窟も有名ですし、もちろん本家本元のイタリアの青の洞窟もこの地形です。写真はキプロスの海食洞です。

カルスト湖沼群

カルスト地形のドリーネに水が溜まってできた湖や沼の総称です。いくつもの湖沼が見られることからカルスト湖沼群と呼ばれています。日本国内では南大東島が有名です。写真はクロアチアのプリトヴィツェのカルスト湖群です。とてもきれいですね。

カルスト残丘

周囲が雨水などによる浸食によって、削られたり、流されたりして、石灰岩が丘状に残った地形です。沖縄市の知花グスクは標高87mのカルスト残丘地形に形成されたグスクで、本島北部と中南部を区分する断層上にあるために地質学や植物学的にも重要な地域だそうです。

岩石海岸

石灰岩が各所で露出したり、砕けた岩や石が転がっています。沖縄の各地にあります。

ポットホール

礫や小石が岩のくぼみなどで、水流の働きなどによって回転し、削り取って丸い穴をあけていきます。このようにしてできた穴をポットホールと呼んでいます。各地の河岸や海辺でも見られたりします。古宇利島のトケイ浜でも見ることができます。

フィッシャー

地層の裂け目です。石灰岩の地層でも見ることができます。沖縄の石灰岩フィッシャーで太古の化石人骨が発見されています(港川フィッシャー遺跡))。石灰岩の土壌がアルカリ性だということ、石灰分を含んだ地下水などが人骨の化石化を助けているそうです。先日は石垣島で最古の全身骨格が発見されています。写真はポーランドです。

湧き水

石灰岩は水を通しやすいので、石灰岩台地の表面や亀裂から浸透した水が、水を通しにくい地層との境目から湧出することが多いです。海岸沿いの石灰岩の崖下のようなところや石灰岩質の山のふもとあたりでも湧水を多く見ることができ、昔は近隣住民の貴重な水場として活用されていました。

ビーチロック

炭酸カルシウムのセメント作用によって、海辺の砂やサンゴのかけら、貝や時には、流れ着いて埋まっている空き瓶まで固めてしまいます。固まっていない堆積物が堆積岩に変わっていく作用の一種を膠結作用と呼んでいて、これをセメント化ともいうそうです。礫や砂、その他の堆積物のすきまに鉱物の成分がたまって、接着剤のように結び付けていくようです。炭酸カルシウムなどがこの接着剤の役割を持っているそうです。温度が上がると固まりやすいようなので、南の島ではビーチロックをよく見ることができるのでしょう。ただビーチロックができるメカニズムはまだはっきりとはわかっていないようです。人間が捨てたようなゴミなども取り込まれて一緒に固まっているところを見ると、ビーチロックは古いものからかなり新しいものまでいろいろのようです。沖縄では板干瀬(いたびし)と呼ばれています。

砂浜

石灰岩の海岸地形でも、張り出した岩場の間に砂が堆積して、砂浜を形成します。潮流の影響を受けることもあるので、漁港や堤防、防波堤、時には橋の橋脚の建設による海流の変化によって、砂が増えたり、時には減少することもあります。季節風の影響もあるので、風が吹きあたるシーズンはかなりの量の砂が堆積し、後背地まで埋まってしまうことも。

バナースペース