なきじん海辺の自然学校

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リップカレント・リーフカレント

海水浴やマリンレジャーで、特に危険なのはリップカレントと呼ばれている、離岸流(強い沖出しに流れ)です。
風向や風速、海岸地形や潮汐など、さまざまな要因が考えられます。
海を見た特に白波が立っているような、波がしらが崩れて白くなっているよなところは水深が浅い証拠です。
砂州・砂洲(砂の堆積による隆起地形)やリーフ(サンゴの隆起地形)などがあると、波ができやすいです。

ちなみに映画でザ・ブリザードという作品があります。
余談ですが、1952年に起きたアメリカの沿岸警備隊によるタンカーの救出という実話をもとにした作品です。
救出に向かう際の広大な砂洲が超激ヤバなポイントです。
恐ろしいほどの高波が、長時間にわたって、小さい救助艇を襲います。
とても面白い作品なので、興味がある方はぜひ。
パーフェクトストームもそうですが、実際に船に乗っている人間は楽しくないかも。
だって波にもみくちゃにされちゃう映画ですから。
ケルヴィンタイムラインという新しい時間軸でのスタートレック3部作で、USSエンタープライズ号の伝説の艦長ジェームス・T・カークを演じているクリス・パインの主演作です。

しかし、こんな波が荒いところの間に、波が立たない場所ができることがあります。
砂洲の切れ目です。
波とともに打ち込んできた大量の水が、比較的波のたたない場所をとおって、沖に戻るような場合があります。
いっきに沖に向かって、吸い出されるような現象がおこります。
防波堤があるような場所でも、
防波堤と防波堤の間(切れ目)で同じような沖出しが発生することも。
そして沖縄ではリーフカレントと呼ばれるようなケースもあります。
リーフと呼ばれているサンゴの隆起地形があります。
地殻変動によって、隆起して沖縄島が形成されました。
その周りを取り巻くようにサンゴが発達し、礁とよばれる海底地形を沖合に広げていきます。
これがリーフと呼ばれているものです。
そしてこの海側の端のことをリーフエッジ、リーフが切れているところをリーフギャップと呼ぶこともあります。
先ほどの減少のように、リーフ内に波が打ち寄せると、必ず、その反作用で、水が戻ろうとします。
この時に波が高いエリアのはざま、波が弱いところに集中して、沖出しの強い流れが発生することもあります。
もしリーフギャップと呼ばれているようなリーフの切れ目があると、そのような水の動きは顕著に表れます。
ギャップのところで強い沖出しの流れ、リーフカレントが発生します。
サンゴ礁地形からの由来ということで、特にリーフカレントと呼ぶケースがあるようです。
昔はとにかくリップカレントと教えていました。
沖縄のように広大なリーフがあるような地形では、干潮時も要注意です。
引き潮で大量の水が沖に流れ始めます。
この際に特にこのリーフの切れ目に水が集中し、激しい沖出しの流れが発生します。
始末が悪いことに、潮位の状況などにより、急に発生したり、場所が変わることもあります。
風の動きで考えると、オフショアと呼ばれるような、陸から海に向かっての風で、沖合に流されることは理解しやすいと思いますが(この場合もリーフギャップは要注意)、オンショア(海から陸に向かっての風)で強い風が吹いている時も、離岸流が発生する場合があります。
岸に向かって、打ち寄せられた大量の水が、波が低いところや、リーフギャップに集中して、沖出しの強い流れを形成することがあります。
沖縄では、旧暦の3月3日に浜下り(はまうい)といって、大潮のころの干潮時に潮干狩りをする習慣があります。
1年じゅう、休みなく働いている女性たちも、この時ばかりは、家の仕事をほおりだしてでも(うっちゃんげて)、海遊びをしても良いという公認の日(行事)です。
身を清めるという意味合いがあります。
しかし、このような日に「かじまーい」とよばれるような、急激な風向の反転があると非常に危険です。
風によって、水が吹き上げられて、海面上昇を起こします。
そして干潮時のリーフ内(イノー)に一気に大量の海水が押し寄せます。
岸へ戻るのが間に合わずに、おぼれてしまったり、場所によってはリーフカレントが発生して、沖に流されるという危険性もあります。
海には、道というのがあって、リーフ内で、安全に行き来するルートというものがあります。
特に満ち潮になった時に、一律に水が戻り始めるわけではなく、低いところや切れ目を通って、私たちの先回りをして、海水が入り込み、岸への行く手をふさいでしまうこともあります。
そのために、干潮時の海遊びも、やはり地元の海をよく知っている人たちの知恵がとても大切になります。
各地で海開きも開催される時期はが、海遊びが増えれば、それに伴い海での事故やトラブルが発生する恐れがありますので、ほんとうに注意が必要です。
リーフカレントに関しては、海上保安庁も安全のための啓もう活動を行っています。
海面着色剤を使用して、リーフカレントの危険個所で実験を行った映像もネット上で見ることができると思います。
ポイントによっては、ただ沖に流されるだけではなく、そのまま海中に引き込まれる流れが生じているところもありました。
シーマーカーが海中に消えていく様子がとても不気味で怖かったです。
リップカレントやリーフカレントから脱出する方法としては、ものすごく強い流れなので、むりに逆らって、岸に戻ろうとしない事です。
比較的、流れの幅というものは限られています。
そして、流れを抜けたところで落ち着くこともあります。
基本的には流れを横切って、泳いでみて、うまく流れから脱出することができたら、方向を変えて、岸の安全なところへ向かうことです。
もし、流れが強かったり、体力的にむつかしい場合には、安全な浮力を確保して、助けを待つということです。
ダイビングでは、海底の地形につかまりながら進み(泳ぐというよりも腕力で)、流れが弱く浅くなったところで立ち上がるという選択肢もあるかもしれませんが、あくまでも流れや波の状態、体力、エアーの残圧などによりますので、限られたケースになるかもしれません。

ダイビングやシュノーケリングではBCDやライフジャケット、そしてカヤックではPFDという浮力体を着用しています。
もし、このようなものを着用していない場合は「ういてまて」です。
そして、浮力体を着用している時でも、流れから脱出できない可能性があったり、岸への上陸が危険な場合は「ういてまて」です。
体力を温存して、助けを待つことも必要かもしれません。 救助してもらえるまで、とにかく浮いて待つことです。
「着衣泳」という水辺活動での安全指導がありましたが、泳ぐというよりは、とにかく体力を温存して、浮いて助けを待つということの重要性から、現在は世界的に「ういてまて」という合言葉になっていると思います。
これに関しては伝え間違いとかがあるといけませんから、各自で検索して、正しい情報を確認してください。
水辺の活動は必ず「ライフジャケット」を着用、そして、もしもの時は「ういてまて」が重要です。


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