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日本のマングローブ

地球

日本には何種類のマングローブがあるんだろう?

日本のマングローブについて紹介したいと思います。熱帯や亜熱帯域だけではなく、意外なところにもマングローブが生育しています。



世界中で100種類近くあるといわれています。マングローブとしての特徴のとらえ方によっては、もっと少ないと表記されていることもあります。日本には広く数えると20~30種類くらいあるといわれています。特にマングローブ的な要素が強いものとして、7種類のマングローブがあると紹介することがあります。メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ヒルギモドギ、ヒルギダマシ、マヤプシギ、ニッパヤシです。

メヒルギ

メヒルギは寒さにいちばん強いマングローブとして、日本各地で頑張って生育しています。海辺の自然学校のカヤックツアーでも、こんなかわいい亜熱帯の植物を楽しく観察しています。

詳しくは →メヒルギ



木の形

樹高としては、中木~低木にはいります。日本では最大で7~8mくらい、海外ではもっと高いものも。国内のマングローブの中では樹高が低いほうです。



気根と幹

根が板を立てたような形に発達することで、木を支えています。板根(ばんこん)と呼ばれています。根は呼吸根と言われたりしていますが、ガス交換は行っていないただの気根らしいです。



ほかのマングローブと比べると葉の大きさは小さめです。葉先はとがらずに丸みを帯びています。



開花時期は初夏。細長い5枚の萼(がく)があり、かわいい白い花を咲かせます。。花弁(はなびら)は糸状で細い。



果実(胎生種子)

長さは約20㎝前後です。細長くて、表面はすべすべしています。

オヒルギ

オヒルギもとっても特徴的な根を成長させます。樹高も結構あるので、貫禄がでてきます。アカバナヒルギという別名がありますが、花弁(はなびら)は違う色です。

詳しくは →オヒルギ



木の形



呼吸根と幹

逆V字のような形です。曲げている膝の形に似ているところから膝根(しっこん)とか屈曲膝根と呼ばれています。



葉は比較的大きく、先端がとがっています。



真っ赤な萼がとても目立ちます。このことから別名はアカバナヒルギです。



果実(胎生種子)



ヤエヤマヒルギ

マングローブといったときに、多くのみなさんがイメージするのは、このヤエヤマヒルギかもしれません。タコ足に伸びる根が特徴的です。

詳しくは →ヤエヤマヒルギ



木の形



呼吸根と幹

テレビでもよく目にするようなタコ足の根っこです。支柱根(しちゅうこん)と呼ばれています。上のほうから伸びてきた根は地面に到達します。、その後、根がしっかりと地面を引っ張ることで木を支えます。まるでキャンプで使うテントをロープで引っ張って地面に固定するようです。役割から考えると「ひっぱり根」です。より複雑な形の根は、水中に没したときに生き物たちの絶好の隠れ家になってくれます。







果実(胎生種子)

ヒルギモドキ

樹高は約10m、国内ではそれほど大きくないそうです(4m~5mくらい)。呼吸根は筍根(じゅんこん)といって、タケノコみたいに直立していることから名前がついています。マングローブとしては、比較的、陸に近いところ(陸地化した湿地)にあります。国内では西表島、石垣島、宮古島、沖縄本島などにあります。金武町億首川が北限とされていて、本島内でここ1か所だけとされていましたが、現在は中城湾にも植栽されたものがあるようです。

ヒルギダマシ



樹高は約10m、国内ではそれほど大きくないそうです(せいぜい1mから2mくらいの低木)。これも筍根ですが、かなり細長く、弾力性に富んでいます。 マングローブとしては、比較的、海に近いところにあります。分泌腺(塩類腺)から塩分を外に排出するので葉の裏側に塩の結晶が固まったりします。人間が汗をかいたときに似ています。葉っぱをなめるとしょっぱいです。国内では西表島、石垣島、宮古島などにあります。宮古島が北限とされていますが、近年では、沖縄本島でも見られるようになりました。本来、生育していないので、本島内のものは国内外来種です。他のマングローブの発育を阻害したり、底質の変化により、マングローブ干潟の生き物の生息環境が大きく変わる可能性もあるそうです。中城湾や羽地内海で拡大が進んでいます。

マヤプシギ



樹高は約10m、国内ではそれほど大きくないそうです。これも筍根です。 マングローブとしては、比較的、海に近いところにあります。国内では西表島、石垣島にあり、石垣島が北限だそうです。

ニッパヤシ



ヤシ科の植物です。日本では西表島にしかありません。船浦湾にあるものが北限だそうです。とても貴重ですね。

マングローブって沖縄にしかないの?

南のマングローブ
鹿児島県喜入町、種子島、屋久島には1種類(メヒルギ)、奄美大島には2種類(メヒルギ、オヒルギ)、沖縄本島(メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ヒルギモドキ)、宮古島には4種類(メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ヒルギダマシ)、石垣島には6種類、(メヒルギ、オヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ヒルギモドキ、マヤプシギ)、西表島には7種類(以上の6種+ニッパヤシ)が生育しています。

鹿児島県



奄美大島住用川のマングローブ林

住用川と役勝川が合流するデルタ地帯に広大なマングローブ林が広がっています。1974年に奄美群島国定公園が誕生し、その2年後にこのマングローブは特別保護区になったそうです。そして今年3月には国内34番目の国立公園となりました(写真は以前のものです)。



国内では西表に次ぎ2番目の広さとなっています。71ha(東京ドーム約15個分)らしいです(34haや21haと紹介しているものも)。



オヒルギとメヒルギがあり、ここがオヒルギの北限となっています。



オヒルギです。メヒルギよりも樹高が大きく、葉っぱも大きいです。

沖縄県 八重山地域



西表島のマングローブ林

日本で最大のマングローブ林で、国内で見られる7種類すべてがあります。西表島には多くの雨が降ります。年間降水量は平均で2300mm(1981~2010)です。多くの雨が陸から土砂を運び、出来上がった広大な平坦な地形にマングローブが生育しています。1972年に西表国立公園になっていて、2007年に石垣島も編入されて、西表石垣国立公園に設定されました。
写真は浦内川のマングローブです。



西表島のマングローブの総面積は604ha(東京ドーム約128個分)らしいです(424haと紹介しているものも)。









写真は船浦湾です。ニッパヤシがある貴重なエリアです。写真の中央にピナイサーラの滝があります。



マングローブが群生しています。



ピナイサーラの滝です。

沖縄本島および周辺離島



東村慶佐次川



今帰仁村大井川



今帰仁村湧川

名護市屋我地島



名護市大浦湾

金武町億首川

沖縄市比屋根

嘉手納町比謝川



那覇市漫湖公園


植樹されたマングローブもあります

もっと北でも植樹したマングローブが頑張っています

もっと北にもマングローブ
熊本にもマングローブがあります。自然環境をよくするためにマングローブを植樹しています。ただ当時は熊本県の自然保護課は反対していたというニュースをラジオで聞いた覚えがあります。5000本近く植えたので、今もある程度残っているそうです。
静岡県の南伊豆の弓ヶ浜にそそぎこむ青野川にはメヒルギがあります。以前、植物園の園長が河川環境を改善する実験の一環として、メヒルギを植樹したしたそうです。初めに植えたものはだめだったようですが、その後に植えたものが今も小規模ながらも残っているようです。途中で河川工事などもあったようですが、ちゃんと生育しています。
このエリアで、北限のマングローブを守る会という活動をされている方にお会いしたことがあります。
同じ静岡県ですが、ウナギの名産地である浜名湖では静岡県と地元のオイスカ高校などが協力して、メヒルギを植樹したそうです。環境を改善する目的で植えたマングローブは今も残っているようです。浜名湖はいくつかの内湖からできています。オイスカ高校が面している庄内湖にあります。


鹿児島県喜入町のマングローブ
リュウキュウコウガイ


熊本県不知火桂原のマングローブ

静岡県青野川のマングローブ

静岡県浜名湖のマングローブ


北限のマングローブ

熊本、青野川、浜名湖の3例に関してはかなり限定的であり、植樹したということがはっきりとわかっているために、北限としては鹿児島県の南部、指宿の近くにある喜入町にあるものを紹介する場合と、もっと厳密に種子島が北限であるとすることがあるようです。
海辺の自然学校のマングローブカヤックツアーでは、種子島にあるものを自生(自然に生えているもの)としては世界で北限のマングローブ林であると紹介しています。
いずれにしても、やはりある程度、あたたかな地域で生育する植物であるといえます。

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